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東日本大震災について想う 2011/05/09
東日本大震災からもうすぐ2か月です。
余震もまだ続いていますね。
未だ予断の許さない状況が続いている方々の事を考えると本当に胸が苦しくなります。

同時に東北の方々の前向きなコメントを数多く耳にするにつれ、この地方で暮らす
方達の心持の強さ、心のあり方に感動を頂いているのも事実です。

一度大きな震災を経験した人にとって余震は、想像を超えた恐怖であることは想像
に難くありません。

僕自身も阪神淡路大震災を大阪の実家で経験していますが、あの恐ろしい思い出
はずっと心の中にあって消えません。

あの地震が起きた朝は僕自身も倒れそうになっている書棚を必死に押さえていました。

ところが停電が起きた直後に棚の上から落ちてきた物が顔面を直撃し、顔面が血だらけ
になっていました。

真っ暗になった部屋の中で顔から溢れ出てくる血を押さえている時の恐怖、そして今で
もあの時の痛み、顔の傷は消えずに残っています。

日本という国に住んでいる以上、地震というリスクからは逃れられないのが事実です。

同時に、ある程度の危険とも隣り合わせでこの一見平和そのものに感じる日々が存在して
いるのだという事を嫌でも認識しなければならない出来事になってしまいました。

情報はあちこちに溢れていますが、それらの情報を自分自身がきちんと吟味して、いま
自分たちにとって何が必要なのかを見抜かなければなりません。

今回の福島の原発で起きている出来事では、今まで表には出てこなかった日本における
数多くの問題が露呈する事となりました。

そしてこの国の体質や慣例がいかなるものかも、沢山の国民の知るところとなったのでは
ないかと思われます。

情報統制に関してももまたしかり。

震災の直後に感じたことですが、日本ではワーストケースのシナリオをほぼ絶対と言って
いいくらい発表しません。
これは非常に恐ろしい事ではないかと思います。

全てが上手くいった場合のシナリオしか発表しないのはこの国のしきたりなのでしょうか。
これでは何かが起こったときに想定外という名のもとに何の準備も出来ないまま行動を
しなければならなくなります。
それがどのような結果をもたらすことになるかは想像に難くないでしょう。

こういった情報統制にはある一定の効果と意味があることは理解しています。
目先のパニックを避ける為だと言われれば、もちろん一理あると思います。

ただそれだけでが真実でしょうか。

原発の問題もまたしかり。

ここから数年、数十年先のことを誰が正確に予測出来るのでしょう。

日本人は未だに国が無条件に自分達を守ってくれると信じているのかもしれません。
それが出来る日本人はもしかしたら素晴らしい気質の国民なのかもしれませんが、
僕は仕事上ヨーロッパ、アメリカで過ごした時間が長かったので、同じような事柄が
諸外国で起きていたら国民はどのようなリアクション、行動をとるかをまず考えてしまいます。


ルールや規律を重んじ静かに耐えることはとても大切な事です。

日本人の忍耐強さは実に素晴らしいと思います。

僕も日本にいるとその素晴らしさに感動を覚える事が多々あります。

ただ同時に一抹の不安を拭いきれません。

今回は日本人のそんな国民性が海外から評価されているとの報道もありますが、
報道とは往々にして大体の場合その国にとって利益になることしか伝えていない
ものです。
もちろん全ての報道がという事ではありません。
事実、真実を伝えようと強い意志を持って戦っていらっしゃる方も多くいらっしゃること
でしょう。
しかし私達は日々取捨選択された情報を見聞しています。
取捨選択は当然必要な作業ですが、そのプロセスを認識した上で
私たちは情報を受け取ることが重要なのではないかと思います。

この国の本当の素晴らしさはどこにあるのか、今後この国がどこに向かうのか。

それを考え、舵を取るのは私達一人ひとりの意志そのものだと思います。


日本全国で沢山の方たちが被災地の方々の為に素晴らしい活動をされています。

その動きは日に日に活発化し大きくなり、やはりこの国の国民性の素晴らしさは
世界に誇れるべきものであると強く思います。

もちろん僕も「和」の国の持つ強さを信じたい。

世界の色々な国を仕事を通してまわってきた僕にとってこの本は祖国である以上に
絶対に無くしてはいけない唯一無二の美しい国。
そして日本人の持つ精神性は同じく唯一無二の素晴らしいもの、決して無くしては
いけないものだとだと感じてきました。

この国は絶対に負けてはいけない。

その為にも今日本は非常にシビアな立場に置かれているということも認識しなければ
なりません。

ここから日本人がどのような意識進化を遂げられるか。

それは即ち日本の数十年後の姿と重なるはず。

その為に必要なのはまず知る事であり、行動する事だと思います。

自分を知るという事は、即ち周りで起きている出来事を冷静に認識する事が出来る
知識、感性を身につけることにほかならないとも思います。


今まさにこの国、そして我々にとって大切なのは、自分自身を内観し、そして変化を
恐れずに強く前に進むことだと思います。


Think cool, act passionate!


本当に必要なものは簡単に見つけることはできません。

人間は自分自身にとって本当に何が大切なことなのか、そんなプリミティブな事柄にも
なかなか気づけない生き物ですからね。

今年不惑を迎えた僕ですが、今一度歩を緩めて考えてみようと思います。
中野 信治
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