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No.15 ARIGATO FROM JAPAN
No.14 被災地にて想う
No.13 東日本大震災について想う
No.12 夏の終わりに・・・
No.11 夏の想ひ出・・・
No.10 恭賀新年
No.9 Think Cool, Shift Dynamic. Think Cool, Act Passionate.
No.8 謹賀新年
No.7 琴線感覚
No.6 秋の夜長に思ふ・・・
No.5 モータースポーツについて思ふ・・・
No.4 心の扉
No.3 香りの力
No.2 一流品
No.1 新年あけましておめでとうございます
香りの力 2008/04/24
香りの持つ力。
そんな観点から僕は香りを意識したことがありませんでした。
少なくともほんの数ヶ月前までは・・・。

今回アットアロマさんとのご縁を頂き、アロマ商品の共同開発という作業を通して、ほんの少し香りの本質に触れる機会を持つことが出来ました。なるほど、香りにはこんな力があるんだなぁと。

交通事故を起こす原因の多くは人の心の状況によるものが多いことをご存知でしょうか。
これは僕の私見でもありますが、車を運転をしている人達は様々な精神状況下にあります。
何も心配がなくいい心の状態の方もいれば、例えば彼氏彼女に振られて落ち込みがちの人、会社の上司に理不尽に怒られた、友人と大喧嘩した、急いでいるのに渋滞中、心配事がある・・・etc。

そんな時に心は乱れ、人は事故を起しやすくなります。
運転にはその人の性格と心の状態が面白いほど現れます。
自分では意識していなくても、これは紛れも無い事実です。
僕は長い間プロのレーシングドライバーとして車の運転に携わっているので、その人の運転を見れば性格までなんとなく解ってしまいます。(笑)

どうなると人は事故を起こしやすくなるのか?
これもプロのドライバーの立場から、思うところは多々あります。
今回のプロジェクトは首都高速道路での交通事故を減らす「SMART DRIVER PROJECT」の一環でアロマ商品を作るというものでした。
今回僕達が作った「DriveTime」という車内で使うアロマ製品ですが、香りは「Happy」と「Cool」の2種類。

落ち込んでいる人にはHappyな香りを。。。
イライラしている人にはCoolな香りを。。。

詳しくはサイトにある動画を見てみてください。
僕も出演させて頂いています。(笑)

何気なくいい香りだなと思う瞬間は誰にでもあるはず。
でもそれがどんな風に人間の体(脳)に作用するかを考える機会はあまりないかもしれません。
人によって、そしてその人の置かれている状況、精神状態によっても香りの感じ方は千差万別です。
だからこれが絶対!というのはありません。
あくまで自分がいいなぁと感じる事が出来る香りが、やはりその人にとって一番の香りだと思います。

今回僕が監修をさせて頂いた「Drive Time」は、僕と香りのプロの方達のイメージ、それぞれのアロマの持つ脳や自律神経への作用などをきちんと考えて作られた香り。
この開発に関わらせて頂けた事、僕にとっては貴重な経験であり、学びでした。

いい香りは意識していないとあまり気にならないものでもあります。
でも何かの拍子にいい香りを嗅ぐと、ああいい香りだなぁと思うもの。
その瞬間人の脳に何らかの変化が起きていることを私達は感じにくいものです。
というか、そんな事は誰も意識していないのかもしれません。
しかし、実はいい香りは人間の心にいい作用をもたらしているのです。
鼻から入った香りは、嗅神経を通って、大脳辺縁系や視床下部へダイレクトに伝わります。
大脳辺縁系とは、感情や欲求に直接深く関わるところ。
そして視床下部とは、自律神経をコントロールするところだとの事。
香りが直接心や体に働きかけるので、良い香りが心をリラックスさせるということは
これらの説明からも理解出来ますよね。
香りがもたらす効果を車の事故を減らす為に使えないか?
そんな所から今回の話がスタートしました。

僕みたいな性格の人間には特にですが、このように物事の裏側や意味を知る事が出来るのは嬉しいことです。
単にこれがいい香りだと言われるよりも興味が広がります。
心を落ち着かせ、物事に集中出来る空間を作る為に、香りは大きな役割を担ってくれるものなのかも知れませんね。
それは自宅であっても、オフィスであっても、車の中であってもです。
いい人間関係の架け橋は、思いやりといい香り?なのかも。(笑)

そんな中で生まれた2つの香りが「SMAER DRIVER」になる為の手助けになればいいなぁ。

最後に余談ですが僕は香水を使います。
でもあまりその意味を考えたことはありません。
海外への移動の際などに、免税店で色々試して気に入ったものを購入するだけ。
自分が使う香水はあくまで身だしなみの一つでしょうか。
出かける準備が出来た後、最後にほんの少しの香水を。
ちょっと気持ちが高まり、そして引き締まります。

話は更に飛びますが、言うまでもなく香りの世界は奥が深い。
日本人にとってのいい香りとは?
例えば畳の匂いであったり、薪を焚く時の匂い、お香の香りもなんとなく懐かしいいい香りです。
これらの香りにはどんな意味があるのでしょうか。
これは野暮な疑問ですね。
理由を必要としない、日本人がそれぞれの育った環境の中で経験したもの、そして日本人のDNAが知っている香りというものが存在しているのだと思います。

そういえば以前、書家の知人が個展を開くというので遊びにいってきました。
墨のかほりに誘われて・・・。
これも僕にとっては懐かしい匂い。
小学生の頃に習っていた書道。
その時の墨の匂いは、数十年経った今でも体のどこかに染み付いていて離れない。

これも人間の持つ不思議で偉大な力なのかも・・・。

そんな偉大な力を忘れてしまっているのも、悪い方に使ってしまっているのも今の時代かもしれません。
でもそんな実は当たり前の事に気づき始めているのも、また今の時代のような気がします。
中野 信治
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